双葉園は、茶処静岡・牧之原市のおいしい深蒸し茶を製造・直販する専門店です。静岡県産茶葉のみを使用し様々な種類のお茶を取り揃えております。
今回は、双葉園が扱っている緑茶の中から、主戦力である深蒸し煎茶について、お話ししようかなと思っています。
煎茶以外にも、棒茶や粉茶、荒茶と、順次ご説明させていただこうと思っているので、しばらくお付き合いいただければ嬉しいです。
新茶シーズン前にこれを読んで、お茶を選ぶご参考にしていただければと思います。
さて、深蒸し煎茶の特徴と言えば、
①お茶の葉が細かい
これは、茶葉が刈り取られた後、煎茶になる上で最初に行われる工程である「蒸熱(じょうねつ)」、つまり蒸す時間に関係があります。
緑茶は、蒸す時間で普通蒸し煎茶と、深蒸し煎茶に、変わっていきます。
普通蒸し煎茶の場合、蒸し時間は、30秒~40秒です。
これに対し、深蒸し茶の蒸し時間は2~3倍の、60秒~120秒の蒸し時間を持ちます。
長く蒸したことで、深蒸し茶の茶葉は、茹ですぎたほうれん草のようになります。
なぜ、このように長く蒸すかというと、牧之原台地で生産されているやぶきた品種の茶の葉が、肉厚という事が理由となります。
牧之原台地は日照時間が長く、温暖な気候であることからお茶栽培に適した土地です。
太陽光に長く当たることで、農作物は旨味や甘みの素となる栄養素を蓄えるのですが、それに反して葉は厚くなり、硬くなっていきます。
その厚くなった茶葉を、普通蒸しの蒸し時間で製茶を行うと、苦みや渋みが残るお茶となります。
その為、蒸し時間を長くして、お茶の繊維を壊し、アミノ酸を出すことで、苦みや渋みを緩和し、旨味とコクのあるお茶に仕上ました。
蒸し時間が、通常より長いことで、深蒸し茶と呼ばれることとなりました。
茶葉の持つ旨味や甘みを引き出すために、繊維を壊して細かい茶葉となっています。
特徴その②抽出時間が短い。
細かい茶葉になることで、抽出時間も変わります。
普通煎茶は、抽出時間に1分~1分30秒程度の抽出時間を取りますが、
深蒸し煎茶は、30秒~1分と短めです。
これは、茶葉が細かいことで、茶葉とお湯が接するところが多く、溶出面が多くなるためです。
そのため、熱いお湯でサッと淹れて、サッと出すことに適しています。
その代わり、長く抽出時間を取ってしまうと、苦み渋みが強くなってしまうので、注意してください。
ぬるめのお湯(60度くらい)で淹れる場合は、長めの抽出時間の方がおいしくなります。(ぬるめのお湯や冷水の方が、旨味の素であるアミノ酸が溶出しやすいからです)
特徴その③お茶の色が濃い
写真のように、比べると色の違いがわかります。
深蒸し煎茶は、茶葉が細かいことで、お茶の微粒子が多く懸濁する為、茶の水色も、濃い緑色となります。
(お茶の色って、お茶業界だと水色(すいしょく)ていうんですよ。良い色だと、水色がいいね。みたいな感じです。お茶の鑑定とかで言われています。)
色が濃いので苦みや渋みが強いと思われますが、そこまで強くありません。
先程書いたように、熱いお茶でサッと淹れて、サッと出せば、甘みと渋みがちょうどよくまとまった美味しさを味わえます。
ちなみに、何故、茶葉を摘み取ってからすぐに蒸すのかというと、茶葉の発酵を止める為です。
ヨーグルト等のように微生物などで発酵させるのとは違います。
お茶の葉には、ポリフェノールオキシターゼと呼ばれる酸化酵素があり、カテキンなどのポリフェノールを酸化させる働きがあります。
その働きを止めるために、蒸す・炒る・煮るなどの熱を加えて酸化酵素の働きを止めています。
発酵が行われないので、緑色が残り、抽出したお茶の色も緑色になります。
このように、深蒸し煎茶は茶葉を細かくすることで、アミノ酸の溶出を促し、味がよく、甘みと渋みとコクをバランスよく味わうことができるお茶となっています。
後味は甘みがありながらすっきりとしているので、熱いお湯でサッと淹れて飲んでいただければ、食事やおやつの後でお口をスッキリさせてくれます。
茶葉が細かいことで、急須に目詰まりするともよく言われています。
深蒸し茶専用の急須や網もありますが、もしよければ、ひと手間で、お茶を注ぎ切った後に注ぎ口の反対側をポンっと叩いて、注ぎ口に偏ってしまった茶葉を急須の中央に戻してあげると、2回目のお湯をそそいっだ時に目詰まりしにくくなります。
または、100均などでも販売している、出汁パックに1回分の茶葉(1人分で3g~5g位)を入れて、簡易ティーバッグにする方法もあります。
ぜひ、試してみてください。